今日は楽器について長文でマニアックなお話です。
専門的過ぎる且、少々真面目な内容です。。。(゜-゜)
↓以下御興味あればお読みください。
先日、たまたまフルートについての動画を拝見することがありまして。
【おぉ~世の中の人たちは、フルートの構造についてそう思っているんだなぁ】と思うことがありました。
基本、色々な考え方があるのでそれはそれで良いだろうというスタンスなのですが、結構最近は明らかに嘘八情報も並んでいたりして。。。これ信じちゃう人いっぱいいるんだろうなぁ…。と考えたら、少しだけ私の分かることを書いてみようかなぁという気持ちになりました。
これから書くことは私が実際にフルートを製作しながら得た知識をもとにした現段階の考えです。
まさかの明日、急な大発見があればコロッと意見は変わりますので悪しからず。
限りあるスペースなので言葉や説明が足りてない部分もあるかと思います。
フルートがどういう理由でどうなっているのか、少しでもフルートを演奏している方の参考になれば幸いです。タイトルにある通り、今回は【頭部管の抜き差しする距離】について書いてみます。
◆頭部管は胴部管からどのくらい引き抜くのが正しいと思いますか??
生徒さんの中には、学校の部活動等で理由も説明されず、【ほとんど頭部管は抜いたらダメです!】と言われてレッスンにくる子がおります。
結論から先に言いますと、目的が音程を合わすため※ならば、
その時に使用する楽器や吹き方・環境に合わせて引き抜く距離は変えてよいと思います。
※吹き方の矯正等目的が他にある場合はこの限りではありません。あくまでもその時に音程を合わせるという目的においての考えです。音の高さによって音程が変わり過ぎてしまったり音色が悪くなったりするのは、この抜き差しする距離とは別の問題です。
例えば、私が普段8mm程度引き抜いて使用している楽器でも、使用する環境(温度・湿度etc)が変われば、5mm、1cmと引き抜く距離が変わることもあります。
内吹き推奨のメーカーさんなどの楽器は、私がそのメーカーさんの楽器を通常通りの吹き方で吹くと、1.5~2cm近く管を引き抜かないとA=442Hzにならない場合もあります。ヴィンテージの楽器だと逆にこんなに差し込む!?というくらい管を差し込まなければA=442Hzにならないこともあります。こうなると使用する楽器によって抜き差しする距離はだいぶ異なると考えられます。
そもそも管体を引き抜く距離にはしっかりとした基準・理由があります。
フルートメーカー各社は、だいたい何mm前後抜いてA=〇〇〇Hzになるようにという設計のもとフルートを製作しております。うちの工房であれば、だいたい8mm前後抜いてA=442Hzになるよう設計して製作しております。(実際には湿度や温度が何パーセントで何℃の場合になど、細かなことが関係してのこの数字になります。)つまり、演奏する楽器や環境が変われば、管を抜き差しする距離は変わるということがお分かりになるでしょう。
◆なぜ抜き幅0mmで(頭部管を抜かなくても良いように)作らないのか。
→演奏する環境によって音程を調整できるようにする為です。
国内で使用している楽器を国外で使用する場合など、気温差、湿気が異なるときは管を差し込まなければならない時があります。また演奏する人の唇の厚さ、歯の形、顎の形、角度、姿勢、息の出し方、体格等々それぞれ異なるため調整できる幅が必要なのです。
◆管体を抜きすぎてしまうと共鳴点がズレて音色が。倍音が。。。
→こう仰る方がいらっしゃいます。
吹き方で作る音色を別として考えた時に、その楽器が本来持つ音色(共鳴・倍音)は、頭部管(テーパーやカットなど)やトーンホールの位置で決まります。
音色が良いと感じるトーンホールの位置と、音程が良いと感じるトーンホールの位置とでは穴をあける位置が異なります。フルートメーカー各社それぞれの考えのもと、どこに穴をあけるのかがスケールの違いとなります。同じ吹き方をしているにも関わらず、フルートによって、この音が高いだ低いだ。という違いがあるのはこのためですね。
長々と綴ってまいりましたが、いったい頭部管は何mm抜いたら良いのか。
私はまず、今の時点でA=442Hzに合う場所に設定すると良いと思います。そしてより良い音が出る吹き方を常に考えることが大切なのではないでしょうか。1人では解決しにくい場合は近くにいる先生にアドバイスを頂くのも良い方法だと思います。そうすることにより、自ずとこの楽器・環境においては、自分は何mm抜いた方が良いと感じる場所を見つけられるようになってくることと思います。
そんなこんなで、次回は銀座山野楽器さんで行うイベントの告知を致します~ ♪
またそのうち皆様の役に立つフルート情報をアップしたいと思います。
長々とお付き合いいただきありがとうございました。
Kaori Nakajima